蒸し器がなくても、自宅にある道具で手軽に蒸し料理を楽しむことは可能です。
蒸しパンや茶碗蒸し、肉まんなど、ふっくらとした仕上がりが魅力の蒸し料理は、蒸気を上手に活用することで代用調理ができます。
鍋やお皿、裏ごし器、ざるといった台所にある調理器具を組み合わせることで、蒸し器のような環境を再現できるのです。
本記事では、それぞれの代用方法とポイントを詳しく解説します。
専門的な視点からも解説するので、料理初心者の方でも安心して実践できます。
蒸し器がないときに使える代用品とは?
蒸し器がなくても、蒸気を利用する仕組みが再現できれば代用は可能です。
お湯が直接触れなければ代用可能!
蒸し料理は、直接火やお湯に食材を触れさせず、蒸気でじっくりと熱を加える調理法です。
そのため、家庭にある調理器具でも、蒸気が循環できる構造さえ作れば代用が可能になります。
鍋の中に台座を設けて、食材と水の間に空間を確保することが基本です。
金属製のざるや裏ごし器、落とし蓋なども活用でき、工夫次第で多様なレシピに対応できます。
蒸気を利用する工夫が重要
蒸気を効果的に使うには、鍋にしっかりと蓋をして密閉性を高めることが大切です。
蒸気が逃げにくい構造にすることで、食材に均等に熱が入り、仕上がりもふっくらと整います。
蒸し器代用時は、蒸気の通り道を確保しつつ、食材の落下や接触を避ける工夫も必要です。
例えば、クッキングシートや耐熱皿を補助的に使用することで、安全性と効率性が向上します。
家にある道具で簡単に蒸す方法7選
家庭にある日常的な道具を工夫して使えば、蒸し器がなくても本格的な蒸し料理が作れます。
お皿を使った方法(最も手軽)
やり方
お皿を使う方法は、どの家庭にもある食器を活用するため、最も手軽に始められます。
鍋の底に脚の代わりとなる器具(ざるや抜き型など)を設置し、その上に平らなお皿を載せて食材を置きます。
加熱時には鍋に蓋をし、しっかりと蒸気を閉じ込めることで蒸し調理が成立します。
蒸気の循環を促すため、皿の素材はできるだけ金属製がおすすめです。
向いている食材・不向きな食材
この方法は、蒸しパン、野菜、茶碗蒸しなどの軽めの食材に適しています。
一方で、もち米や豆のように火が通りにくい食材には不向きです。
蒸気の通り道が限られるため、熱伝導率の高い金属皿を使うことで多少の補正は可能ですが、根本的な蒸気量の制限は避けられません。
短時間で蒸せる食材を選ぶのがポイントです。
使用時の注意点とコツ
お皿の材質には注意が必要です。
ガラスや陶器製の器は熱によってひび割れる可能性があります。
耐熱性に優れたものを使用し、鍋底にはクッキングシートを敷いて衝撃を和らげると安全です。
また、蒸し時間を長めに設定したり、中火以上で加熱することで蒸気の不足を補うことができます。
火加減を調整しながら使用しましょう。
裏ごし器を使った方法(最も万能)
方法①:裏ごし器を逆さにして使う
裏ごし器を逆さに置いてその上に食材を並べる方法は、蒸気の通りが非常に良く、均一な加熱が可能です。
裏ごし器の網は平面で広く、肉まんや野菜、プリンなど幅広い料理に対応できます。
片付けも簡単で、特別な器具を追加する必要がない点が魅力です。
ただし、裏ごし器の強度や形状により安定性に注意が必要です。
方法②:脚を使って安定させる
より安定性を高めたい場合は、鍋底に抜き型や金属の台を置き、その上に裏ごし器を設置する方法が有効です。
こうすることで、調理中に食材が傾いたり崩れたりする心配がなくなります。
また、裏ごし器の網目が細かいため、ういろうや茶碗蒸しのような液体料理にも対応できます。
布巾を敷いておけば、素材の流出も防げて便利です。
蒸せる料理例と注意点
この方法では、蒸しパン、肉まん、茶碗蒸し、プリン、もち米まで幅広く対応可能です。
ただし、裏ごし器の材質がアルミやスチールである場合、加熱による変形や錆に注意が必要です。
使用後は水分をしっかり拭き取り、乾燥させて保管しましょう。
また、蒸し時間が長い場合は途中で水の量を確認することも忘れずに行ってください。
ケーキクーラーを使った方法(最も楽)
設置方法
ケーキクーラーは、もともと焼き菓子を冷ますための器具ですが、その構造を活かして蒸し調理にも活用できます。
鍋の中に直接クーラーを置き、上に耐熱皿や食材を並べて蓋をすれば、簡易蒸し器として機能します。
脚付きの構造が蒸気の通りを確保し、安定性にも優れているため、調理初心者でも扱いやすいのが特徴です。
適した料理と不向きな素材
網の上に器を置いて調理するため、茶碗蒸しや蒸しパンのように型に入れた料理に適しています。
また、野菜などの蒸し物にも対応可能ですが、隙間が広いため、直接食材を置くと落ちる可能性があります。
一方、もち米や豆、肉まんのように柔らかく広がる食材は、網目から崩れてしまうため不向きです。
器に入れて使うのが基本となります。
メリット・デメリット
ケーキクーラーは一体型構造のため、準備や片付けが非常に簡単です。
さらに、脚付きで高さが確保されており、蒸気の循環も良好です。
ただし、網目が粗いため、細かい食材や液状の料理を直接載せることはできません。
耐熱容器やクッキングシートとの併用が必要です。
また、鍋の大きさによってはクーラーがはまらない場合もあるため、サイズ確認も重要です。
ざるを使った方法(より身近)
鍋に直接置く or 台を使う
ざるを使う方法は、キッチンにある最も身近な道具を活用する方法の一つです。
深さのある鍋に水を入れ、ざるをそのまま置くか、脚代わりの台(抜き型や小皿など)を敷いて設置します。
鍋とざるのサイズが合えば、直接置くことでより簡便に調理が可能です。
蒸気の通りもよく、広範囲に熱が加わるため効率的です。
使い方のポイント
ざるの材質は金属製が推奨され、熱に強く、蒸気の通りも安定しています。
ただし、底面が丸みを帯びているものが多く、安定性に欠ける場合があります。
そのため、しっかりと鍋にフィットするサイズを選ぶことが重要です。
また、布巾を敷くことで柔らかい素材の調理にも対応可能になります。
蒸し時間が長い料理には、途中で水分補給を行うと失敗を防げます。
適した料理例
この方法は、野菜やプリン、茶碗蒸しのような軽量で加熱ムラが気になる料理に向いています。
蒸気がしっかり通るため、加熱時間を短縮しつつ均等な火通りが可能です。
ただし、蒸しパンや肉まんなど、形を保ちたい料理はざるの形状に合わず崩れやすいため不向きです。
使用する際は、料理の特性を見極めて道具を使い分ける必要があります。
金属製落とし蓋を使った方法(万能に近い)
設置方法と使い方
金属製の落とし蓋は、蒸気を通しやすく、なおかつ平らな面で食材を安定させることができるため、万能に近い蒸し調理道具として活用できます。
鍋に水を入れた後、脚の代わりとなる台を敷き、その上に落とし蓋をひっくり返して設置します。
蓋をして加熱すれば、蒸気が全体に循環し、均一な調理が実現できます。
対応できる料理
金属製落とし蓋の特性により、蒸しパン、肉まん、茶碗蒸し、もち米、プリンなど、多くの蒸し料理に対応可能です。
特に底面が平らなため、器を並べやすく、安定感もあります。
耐久性にも優れており、高温でも変形しにくいため、長時間の蒸しにも耐えられる点が評価されています。
家庭用の簡易蒸し器としては最上位の代用品といえるでしょう。
注意すべき点
蒸気の通りが良い分、加熱時間が長くなる場合には水の蒸発にも注意が必要です。
落とし蓋のサイズを鍋よりやや小さめにしておけば、隙間から水の追加がしやすくなります。
また、使用後は金属の熱が残りやすいので、やけど防止のためにトングやミトンの活用をおすすめします。
さらに、使用前後の洗浄と乾燥を徹底して、錆の発生を防ぎましょう。
蒸し器を使わない調理法も検討しよう
蒸し器の代用が難しい場合でも、他の加熱方法を工夫することで、蒸し料理に近い食感や風味を再現できます。
茹でる
蒸し野菜との違い
茹でる調理法は、鍋にたっぷりの湯を沸かし、食材を直接加熱する方法です。
一方で蒸し料理は蒸気で穏やかに加熱するため、食材の水分流出が抑えられ、風味や栄養の損失も少なくなります。
茹で野菜は水に浸かることでビタミンやミネラルが溶け出しやすく、栄養面では不利な点がありますが、時短調理としては効果的です。
上手に茹でるコツ
できるだけ大きめに切ったり、皮ごと茹でることで栄養の流出を防ぎやすくなります。
じゃがいもやにんじんなどは皮を残したまま調理すると、素材本来のうま味を保ちやすくなります。
また、火の通りに差が出ないよう、食材ごとに茹で時間を調整しましょう。
調理後はすぐにザルにあげ、余熱による過加熱を防ぐのもポイントです。
蒸し煮する
調理手順とコツ
蒸し煮は、鍋に少量の水と食材を入れ、蓋をして加熱することで蒸しと煮を同時に行う調理法です。
水は食材の1/3~1/2ほどが浸かる程度に留め、強火で加熱した後は弱火にしてじっくりと加熱します。
蓋を開けずに加熱することで、内部の蒸気が循環し、均等に火が通ります。
焦げつきを防ぐために、鍋底にはクッキングシートや昆布を敷くと安心です。
対応できる食材
蒸し煮は、キャベツや白菜、鶏むね肉、白身魚など水分を多く含む食材に適しています。
特に、味が染みやすい根菜類やきのこ類とも相性が良く、調味料と合わせて煮ることで一品料理としても成立します。
固形のままでは火が通りにくい食材には、下処理として下茹でを加えると調理がスムーズになります。
電子レンジで加熱する
蒸し器に近い仕上がりにする方法
電子レンジ調理では、食材の内部水分を利用して加熱するため、蒸し器に近い効果が得られます。
耐熱容器に食材を入れ、ラップをしっかりかけて加熱することで、水分が閉じ込められ、しっとりと仕上がります。
より蒸し器らしい食感にしたい場合は、水を少量加えてラップ内の蒸気量を増やすのが効果的です。
火の通りムラへの対処法
電子レンジ加熱は、部分的に熱が集中しやすく、火の通りにムラが出ることがあります。
その対策として、途中で一度取り出してかき混ぜたり、裏返したりすることで、均一な仕上がりになります。
ターンテーブル機能のない機種では、器を手動で回すのも有効です。
また、加熱時間を分けて段階的に火を入れる方法もおすすめです。
じか蒸し(地獄蒸し)する
方法の特徴
じか蒸しは、鍋に浅くお湯を張り、耐熱容器を直接底に置いて加熱する方法です。
蒸し器や脚の代用品がない場合でも、手軽に蒸し調理が可能です。
直に熱が伝わるため加熱効率は高いものの、加熱ムラや火の通り過ぎに注意が必要です。
とくにプリンや茶碗蒸しのような繊細な料理では、火加減の調整が重要となります。
向いている料理例
この方法は、少量の茶碗蒸しやプリンなどの個別加熱に適しています。
容器に蓋やアルミホイルをかぶせることで、直接の加熱をやわらげ、すだち(気泡)を防ぐことも可能です。
また、火が通りやすい食材や半液状の料理に最適で、加熱の時間管理によって滑らかな食感を保つことができます。
短時間で手軽に蒸し料理を作りたい場合に便利です。
まとめ
蒸し器がない環境でも、身近な調理器具や代替調理法を使えば、さまざまな蒸し料理を楽しむことができます。
お皿、ざる、裏ごし器などを使った方法は工夫次第で多様な料理に対応可能です。
さらに、蒸す以外の加熱方法を適切に使えば、仕上がりのクオリティも大きく損なわれません。